鞄の紹介は今までもしておりました。
中でも神戸の名店「Bellago」でオーダーしたバッグはとりわけて気に入っており、高い頻度で愛用しています。
ただこのバッグ、今の僕の仕事にはとても容量が足りません。
商談が2件入れば別に紙袋を持つ始末。どんなに素敵な鞄でも、紙袋と一緒に持っては台無しですね。
思考を切り替え、荷物が多い日はほかの鞄を、少ない日にはBellagoの鞄で軽快に……と思っていましたが、それでも容量が足りませんでした。
「ダレスバッグを買うしかない……」
なにも「買うしかない」ことはないと思うのですが、無駄に燃え上がった購買意欲は僕を立ち止まらせません。
今すぐダレスバッグが要る。
◆「ル・ボナー」という選択肢
既成鞄を探すにあたり、大峡製鞄や万双なども見ましたが、価格やクオリティ、ディティールなどのバランスに悩みました。
そんな中、最適解だったと確信できるのが今回の「ル・ボナー」というブランド。
神戸の六甲アイランドにある名店です。
折角神戸に住んでいるのだから、ぜひ一度伺わねば。と兼ねてから思っていたので良い機会でもありました。
ここでル・ボナーの自店紹介ページから引用を。
私、松本佳樹は以前東京で自社ブランドの鞄をバーニーズ・ニューヨークなどに卸していました。
しかし製品のクオリティとコストのバランスに悩み、’92年に出身地である神戸の新しい街でショールームと工房が一つになったこの店を開く決意をしたのです。革の鞄、といってもその種類やグレードは千差万別。
https://www.kabanya.net/about/
最も重要な「素材」にしてもそれぞれ特徴があり、たとえばフランス製の皮革は発色が良く品質が安定、イタリア製はしっとりとした艶っぽい感触、ドイツ製は強度を誇るというように生産国によっても個性が異なります。
その個性が最大限に生かされた鞄作りに日々努めていま す。
この松本佳樹氏、本当に柔和で気さくなお人柄でした。
とても素晴らしい、一角の人物です。
鞄にはやはり氏のお人柄がよくよく顕れている気がします。
◆ディティール
御託はケッコウ、早くモノを見せなさいよ。というつっこみがきこえてきそうなので、さっそくディティールを見ていきます。
こちらが購入してきたばかりの状態のダレスバッグ。
マットな印象で、素材はワルピエ社、ブッテーロレザーです。
使い込むとツヤは増していきます。
金具は真鍮無垢。メッキ加工などはありません。
開閉はスムーズで小気味良いです。
鍵。何らかのデザインが入ってますね。
なんのイニシャルでしょうか。たぶん「ごっつ(G)すごいで(S)」だとおもうのですが、真偽は定かでありません。
内装はグレーのピッグスエード。3室ありますね。
容量はとても多いです。安心して大量に持ち歩けます。
しっかりひらく、自立もする。この使い勝手の良さがダレスバッグの魅力ですね。
このバッグ、工程のほとんどがマシンなのですが、要所は手縫いになっています。
上から見ると手縫いの雰囲気が見て取れますね。
このたわみが重厚な中にも手仕事の温かみを感じさせます。
エイジングしたときどのように変化するのか楽しみです。
ハンドル部にも松本氏のこだわりが詰まっています。
金具の接する部分にエレファントレザーをかませているそう。
これにより、金具同士がぶつかることで発生する摩耗を大幅に抑えることができるとのこと。
◆使用感
普段の仕事はもちろん、一週間の出張にも連れて行きました。
この容量の多さはビジネスの強い味方です。
見た目が重すぎるかとも思いましたが、実際に持ってみると思いのほかスマート。
これはデザインのなせる業だとも感じます。左右下部の補強(?)パーツの長さがブランドによりまちまちなんですよね。
美しい配置だと思います。
また、ダレス特有のアール(曲線)も美しい。
◆まとめ&あとがき
ルボナーは、三宮からポートライナーを使うと美しい景色を通って辿り着くアトリエです。
そしてそこでつくられるこのバッグには氏のこだわりと心遣いが詰まっています。
購入時は思わず話し込んでしまいました。それほど素晴らしいお人柄だということです。
モノはモノですが、永く使うものにはやはりその「こだわり」が生きていてほしいですね。
今や忙しい日の相棒はこのダレスバッグ。
これからも多くの案件を共に乗り越えていくことでしょう。
ダレスバッグは「ドクターズバッグ」と呼ばれることもあるそうで、医者が往診の時に使っていたそうです。
利便性からそのような由来につながったことかと思いますが、その歴史がまたダレスバッグに威厳をもたせている気がします。
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