「もう靴は増やさない」
そう、誰かに言ったのですが、誰に言ったんだったか?
思い出そうとしていた今日この頃、この靴を手に入れてそこかしこに得意げにしていると周りの多くの方に言われました。
「もう靴は増やさないって言ってなかった?」
僕、方々に言ってたのか……。
というわけで蝶のように買い蜂のようにオーダーしました。
COLのオリジナルシューズ。
ちなみに二足目です。
一足目はこちらの記事。
◆オーダー内容
今回オーダーしたのは黒のパンチドキャップトウ。
革はデュプイのルビーカーフ。
靴職人:霜埼氏のコレクションには、マローカーフやシャトーブリアンといった最高級の皮革がありましたが、皺の雰囲気や光沢が好みでこのルビーカーフにしました。
デザインをパンチドキャップトウにしたのは、ストレートチップに次ぐドレッシーな黒靴が欲しかったから。
オーダーした当時は深刻な黒靴不足に悩まされていました。
「深刻な黒靴不足ってどのくらいのことなんだよ」と思って当時の靴を数えてみると、17足中2足という事態でした。やべえ。
◆職人:霜埼氏
この靴をオーダーするとき、COLのオリジナルシューズを担当する職人、霜埼氏に直接お会いすることができました。
氏は僕の足を良く分析し、「踝が比較的低い位置にあるから履き口が嗤いがち。革を内側に張ることで対処が可能かもしれない」とフィッティングに対して提言してくれました。
素人である僕はそれに反論するはずもなく、「お任せします」のひとことでした。
しかしそのあと、氏はその内側に張る革を何ミリにするのかで数十分悩まれることになります。
決めた素振りを見せては、やはり僕の足を見てもう一度悩んだり……。
その姿を見て、「この人は本気で僕に素晴らしい靴をつくろうとしてくれている」と理解できました。
まさに実直なお人柄。仕事に向き合う姿勢として、尊敬せずにはいられませんでした。
◆ディティール
適度に控えめなノーズと意匠。
雰囲気はエドワードグリーンの202に似ているのかな?と思いました。
また、パンチドキャップトウとしてのデザインはジョンロブ、フィリップ2に見られるものにも似ている。
クォーターというのですかね。
穴飾りの配置が似ています。
しかしこの靴をよく見てみると
ビスポークシューズに多く見られるようなディティールが散見されます。
ベヴェルドウエスト。
足首に沿った、シームレスヒール。
ツイステッドラスト。
絶妙なねじれ具合。
これらのディティールが複合して、この「明らかに普通ではないオーソドックスな靴」ができあがるわけですね。
まさに実直な霜埼氏の性格を反映したかのような靴です。
◆着用
フィッティングは良好です。
羽根のひらきも理想的ですね。
僕の足に合わせて調整して頂いていることもあって、ストレスはありません。
ただしルビーカーフが比較的硬い革なので、馴染むまで硬さは感じられそうです。
横顔が見えるとまさにエレガント。
こんなにオーソドックスな意匠なのに、本当に美しい雰囲気です。
ただ質実剛健というのではなく、確実に色気を備えています。
ライトグレーのスーツに合わせてみてもいい雰囲気。
黒のパンチドキャップトウはどこでも連れていけそうな懐の深さがありますね。
◆あとがき
二足目のMTM、素晴らしい靴でした。
ちなみに3足目のオーダーも確定しています。
靴のパターンオーダーにおいて、個人的にこれほど信頼する職人はいません。
また、モデルに関してもCOLの齋藤さんに相談できることも大きい。
彼なくして僕のワードローブはないので、大変お世話になっているところです。
しかし近日中には別の靴の納品も控えています。
その頃にはまた感動の様子をお届けしようと思います。
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