やあ諸君、久しぶりだね。
何度目の〝久しぶり〟かはわかりませんが、また会えたことを祝福しましょう。乾杯。
このブログを相手にトムとジェリーみたいに追っかけたり追っかけられたりしている紳士諸兄のなかには、靴とは「仕立てるもの」と認識されている方も少なからずいらっしゃることでしょう。
斯くいう僕も、ここ数年MTMがほとんど、一足はビスポークし、そもそも30足以上残存している靴の置き場に困っている次第です。
よってどんなに魅力的な提案があっても既製靴など買うわけにはいきません。だって既製靴って買ってすぐもらえちゃうから。また靴増えちゃうから。禁酒に何度も成功している僕はこうと決めたら譲らない鉄の男。寡黙でダンディ。ひとりSMAP。
店員「これ、履いてみませんか」
僕「買わないのに?」
店員「はい、試しに」
僕「…」
「買います」
かくして、約半年ぶりのブログ更新、yurime購買譚が幕を開けたのだった。なるべくはやくその幕を引いた方がいい。
◆JOHN LOBB
既製靴の王として愛され続けるブランド、ジョンロブ。
しかしその起源はビスポークにあります。
1866年、ロンドンではじまったジョンロブの靴造りは、1902年にパリにも進出しその販路を拡大し、その後世界中にブティックをオープンしていきます。
ジョンロブの歴史は燦然と輝く成功の物語…ではなく、経営難に陥った時期もあります。
2号店であるパリの店も閉めなければならない。
そんな状況の折に手を差し伸べたのがあのエルメスです。
エルメスはジョンロブパリ店を傘下に収め、俗に言う「ロブパリ」の発足ですね。
ここでご存知ない方のために注釈を付け加えておくと、僕たちが日頃目にする所謂既製品(ブティックでオーダーできるMTM含む)はフランスのエルメス傘下の「ロブパリ」と呼ばれるものです。
それとは別にロンドンにはビスポーク専門の本家ジョンロブが存在し、これは「ロブロンドン」と呼ばれ区別されます。
ちなみにロブパリはビスポークも受けているようです。あくまで既製品がメインとのこと。
国内でビスポークできるかは謎ですが。
今回はそんなジョンロブの“フェンコート”を購入したのでご紹介します。
◆フェンコート
“フェンコート”は比較的モダンな印象のローファーです。
シャープな印象ですが、スエードの質感からどことなく優しい雰囲気も感じます。
このスエード、毛足が短くヌバックみたいな肌触りです。
シャープな印象の要因として、フェンコートがフルサドルであることが挙げられます。
ラストも細身ですが、サドル部分がサイドまで伸びることでよりすっきりした印象になりますね。
ちなみにソールはレザーで、トップリフトはジョンロブのロゴ的イメージを象っています。
このトップリフト、旧型だそうで今ジョンロブの正規修理を受けてもこれにはならないとか。
◆着用感
履いてみた印象や雰囲気はこちら。
これはジャケットスタイルに合わせていますが、実際はスーツでもいいと思います。
スーツスタイルにローファーはどちらかといえば邪道で、唯一タッセルローファーは許されていますがそれはファッション愛好家の中でのこと。
実際にビジネスシーンではタッセルローファーよりこういったモダンなコインローファーの方が合わせやすかったりしますね。
「そこまでしてローファーあわせんでも」みたいな意見もあるかとは思いますが、脱ぎ履きの多い仕事では必需品なわけです。
サイドの見た目はよりすっきりしていますね。
この時の履き心地はかなりタイトだったんですが、次第にリラックスフィットになっていき購入ひと月後にはノーストレスになりました。
こちらは購入時の試着の様子ですが、なんかもう「買うしかないやろ」みたいな雰囲気ありますね。
こうしてみるとやはり幅は細め、ノーズ長めの印象。
フェンコートは現行コレクションからは消えてしまったようですが、むしろ今にこそ合いそうなイメージですね。
◆あとがき
靴はたくさん買ってきましたが、意外にも(?)初めてだったジョンロブ。
基本服も靴もオーダーに移行しているので、満足度が高かったからといって今後何足も買うかと言われると難しいですが、かなり良い買い物になりました。
今回購入したのは百貨店でしたが、旧モデルが残っていたことも僥倖でしたね。
スエードなので目立ったエイジングはなかなか望めませんが、しばらく履き慣らして様子を見ようと思います。
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